2009年4月11日土曜日

米アラスカ 映画 イン・トゥ・ザ・ワイルド In To The Wild

特別旅好きというわけではない友人が、私のような旅をしている映画だから是非見ろと勧めるので見ることにしました。


アマゾン内容紹介
(引用)
ショーン・ペン監督最高傑作、衝撃の実話を映画化!
恵まれていた22歳の青年は、なぜ独りアラスカを目指したのか-

1992年アメリカ最北部、アラスカの荒野でクリストファーという若者の死体が発見された。裕福な家庭に育った優等生の彼が、なぜ全てを捨てて旅立ち、2年間の放浪の果てにアラスカで最期を迎えたのか。
ジャー ナリストで登山家のジョン・クラカワーはこの出来事を綿密に取材し、ノンフィクション「荒野へ(原題:Into The Wild)」を発表、一躍ベストセラーとなった。この「荒野へ」に激しく心揺さぶられたショーン・ペンが10年近くをかけて映画化権を獲得。実力派のス タッフ&キャストが結集し、ついに本作「イントゥ・ザ・ワイルド」が完成した。理想と現実のギャップに悩み、全てを捨てて真実を追い求めた主人公 の姿は、見る者すべてに衝撃を与える。
旅の終わりに彼が知った“真実の幸福”とは・・?

主演のエミール・ハーシュは、18キロの壮絶な減量を敢行。実際にクリスが着ていた服に身を包みアラスカに立つ渾身の演技は必見!
他にも、共にアカデミー賞受賞者であるクリスの両親役のマーシャ・ゲイ・ハーデンとウィリアム・ハートや、本作で83歳にして初のアカデミー賞助演男優賞候補となったベテラン俳優のハル・ホルブルックなど、実力派のキャストが結集!

アラスカの壮大な自然、臨場感のある圧倒的な映像美や、映像とシンクロするエディ・ヴェダーのエモーショナルな音楽が作品を盛り上げる!
(引用終わり)

*感想
結果的に共感できる部分は少なかったです。家族に黙って旅に出るところなど、身につまされる部分はありましたが・・・(笑)。
この映画のポイントを一言でいえば、主人公が衰弱死する寸前に本に書きこんだ、「人と分かち合う幸せこそが本当の幸福」というセリフでしょう。冒険・孤独な環境を求めてアラスカの荒野に向った青年が死の間際に辿り着いた境地がそれなわけですが、ハリウッド映画お決まりの落とし所(愛の尊さ・家族愛)だなぁと感じざるを得ませんでした。
自分なりの評価では5/10。ちょっと厳しいか。

* 冒険とは?/私が僻地や離島を旅する理由
映画の中で「アドベンチャー(冒険)」という言葉が幾度となく登場します。しかし、主人公の行動は冒険なのでしょうか。冒険と無謀は違います。冒険家・探検家・登山家と言われる人がどれだけ用意周到に準備しているかご存知でしょうか。テレビで見る冒険番組は、スポンサーがついて予算があり、現地ガイド・コーディネータや多くのスタッフの協力で初めて可能になるのです。それなのに、冬のアラスカの雪原に、テントも地図も食料も持たず、一人入って行くなんて、冒険じゃなくて単なる無謀です。
また、冒険と現実逃避も異なります。家庭の不和とか彼の育った環境がクローズアップされていましたが、その程度の問題、誰だって抱えて生きているでしょう。映画を見ていて主人公の現実逃避ぶりに幼さを感じて気持ちが萎えました。「偽りの自分を抹殺したい」とか、ノートにいろいろ書いている詩的な文章が私の肌に合いませんでした。ファンタジーの世界の住人のようです。サウスダコタの農場でバイトしながら、「アラスカから帰ったら本を書くかも」と言うシーンがありましたが、人と違ったことをして目立ちたかった、結局彼の意図はそれだけのような気がしました。
主人公の青年には、アラスカの荒野じゃなくて、後進国に行って、現地の人と話してきてほしかった。ありきたりでもいいから、人の営みという現実を見てきてほしかった。若い命がこんな風に潰えてしまうのはとても残念なことだと思います。私は、この映画を見て、「俺もこんな風に・・・」なんて旅に出てしまう日本の若者が続出しないことを祈ります。90年代の猿岩石ブームを振り返れば、ありうる気がして怖いです。 

私は旅好きですが、冒険しているつもりはありません。人が住んでいないところには行きません。友人は、私が一人でマイナーな国や離島ばかり行くから、映画の主人公と同様、大自然や孤独を求めていると思って、この映画を勧めてくれたのだと思いますが、そうだとしたら、それは残念な誤解です。どこが誤解かというと、マイナーな国や離島には人の暮らしがなく、文化もない、という無意識の想定が間違っているのです。マイナーな国や離島には、独自の文化と暮らしがあるのです。離島や僻地にわざわざ住むような人は、並々ならぬ郷土心と思いやりを持っています。都会に住んだら失われてしまうような繊細だけど力強い伝統があります。私が世界300国訪問したジョージから聞いた言葉、「Bad Road, Good People」。これが私が僻地や離島を旅する理由です。人がいないところを選んでいるわけじゃなくて、そのユニークな場所にしかない人との出会いを求め、その地の人の暮らしを見に行きたいのです。
私は孤独を愛して一人旅をしているわけではありません。ひとり旅は現地の人とコミュニケーションをとるのに最も適した旅のスタイルだと思っています。実際、ひとり旅だと地元の人がいつも親切にしてくれるので、孤独を感じることはほとんどありません。それなのに、世間から見るとこの映画の主人公と同様に見えるのかと思うと正直複雑です。

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