2009年3月14日土曜日

荷物を失って得たもの(荷物圧縮術)

*荷物を全部盗まれて、見えてきたもの
コスタリカは中米諸国の中では経済的に発展しており治安も比較的良く犯罪は少ないといわれている。しかし私はコスタリカの首都サンホセで、パスポートと財布を除く荷物のすべて、リュックサックを丸ごと盗まれてしまった。

状況はこうだ。サンホセの中心部コカコーラ地区には、バス会社が集まっており、国内および国際バスのターミナルになっている。私はパナマの首都パナマシティーへの路線をもつPanaline社のオフィスで時間をもてあましていた。パナマシティー行きバスの出発時間はまだ2時間先だから、もう少し町を見てきても良かったのだが、荷物がやや重かったため面倒になり、オフィスで出発時間を待つことにしたのだ。私はオフィスの壁に貼ってある地図や広告を一つ一つ眺めていった。

ふと気がつくと、右足の脇においていた私のリュックがない。バス会社の人が気を利かせてバスにつんでくれたのだろうか。貴重品も入っているから私は荷物を預けることはしない。全く余計なことをしてくれたもんだ。。。

そう思いつつ切符を売ってくれたおやじに確認する。「君の荷物?知らないよ」。

・・・そうか、私の荷物は盗まれたのだ。オフィスの周りを急いで探してみたけれど、当然荷物も盗人の姿も見つけることはできなかった。

思い起こせば、荷物がなくなる前に、オフィスの中に急に人が増えた。彼らは組織的な窃盗グループだったのだ。人垣は私の注意を荷物からそらせる「煙幕」で、きっと私が荷物の盗難にすぐ気がついたときに追跡するのを妨げる「障害物」役の奴らもいたはずだ。

タクシーで急いで警察署に行き、ポリスレポートは書いてもらったが、盗まれた荷物が出てくる可能性は皆無に近い。中には着替え、書籍、日用品、航空券などのほか、TC、現金約300ドルやカメラなど金目の物も入っていたのだから。

撮影済みのフィルムを失ったのはとても残念だが、サンホセに残っていても仕方ない。幸い身につけていたパスポートと、クレジットカードとキャッシュいくらかが入った財布は無事だったので、手ぶらのまま予定通りパナマに行くことにした。サンダル・Tシャツ・短パンで手ぶら・・・難民さながらの風体で、バスのエアコンに震えながら、18時間耐えてやっとパナマシティに到着した。

荷物をなくして気がついたこと。
(1)身軽なことはなんと爽快なことか。
(2)無くした物がなくてもそれほど困ることはない。

刺激に満ちた町は書籍などよりもずっと娯楽を提供してくれるし、日記はどんな紙のうらにでもかけるしし、もともと出番がなかった薬などはもう買う必要もなかった。いざというときのために持ってきていた懐中電灯やNASAの銀色のシートや水中ゴーグルなど、なくてもいいものばかり持っていたのだ。爪切りなんか一週間に一回ホテルで借りればいいのだ。下着だってTシャツだって、必要ならどこの町でも安く買いなおせる。過剰な着替えも不要だった。カメラがないのは本当に残念だったけれど、今思えば使い捨てカメラなどをその場で調達することもできたはずだ。

結局いままで私が持っていた荷物はほとんど不要なものだったのだ。

サンホセ事件以来私の旅行中の荷物は次第に少なくなっていった。荷物は減らせば減らすほど快適な旅ができる。混雑した市バスに飛び乗ったり、気に入った駅で列車をふとおりてみたり、宿泊することなく荷物をもったまま町を観光したり、、、行動範囲はとても広がった。旅の快適さは荷物の軽さに比例するのだ。2003月12月の旅行からはそれまでのコンパクトデジカメに加えて一眼レフデジカメを持っていくようになったが、それでも私の荷物が10kgを越えることはなかった。

最近は、荷物を極限まで減らすことに快感を覚えるようになった。実際、カメラ関連をのぞけば手ぶらで旅行もできる。ただし、ミニショルダーバッグひとつで行ったアイスランドであまりの荷物の少なさに怪しまれ全身検査をされて以来、どんなに荷物が少なくてもナップザックに入れていくようにした。最近の荷物は大体以下のとおりだ(以下略)。

2006年4月記

* 補足
上記は2006年4月に書いたものですが、2007年にも荷物を全部盗まれました。ウガンダで。私、失敗から学べない男なんですよね・・・。
荷物をほとんど持たないという基本的に方針は変わっていません。荷物を減らすこと自体が護身術であり旅を楽しくする秘訣だと思っています。最近はナップザックも持っていかないですね。アフリカ旅行も肩掛けポーチひとつで行きます。
一眼レフも持っていかなくていいと割り切れば手ぶらで旅ができます。コンパクトデジカメのLX3だけでもいいかなと最近は思っていますので(左上の「ブログ検索」にLX3と入れると私の関連メモにアクセスできます。)。
着替えを持たないというとびっくりされますが、この点については機会があれば別稿で詳細を書きます。

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