2009年3月11日水曜日

アイルランド 映画「麦の穂をゆらす風」

The wind that shakes the barley
(引用)
『麦の穂をゆらす風』(むぎのほをゆらすて、The Wind That Shakes the Barley)は、2006年のアイルランド・イギリス合作の映画。アイルランド独立戦争とその後のアイルランド内戦を背景に、英愛条約をめぐって対立することになる兄弟を描いた戦争映画。監督はケン・ローチ。
第59回カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルム・ドールを受賞した。
(引用終わり)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BA%A6%E3%81%AE%E7%A9%82%E3%82%92%E3%82%86%E3%82%89%E3%81%99%E9%A2%A8


日曜日にリアルIRAによるとみられるテロ事件があった。それで日曜の夜に選んだのがこの映画。

* 印象に残ったシーン
1)オープニング
アイルランドの伝統球技ハーリング。網のないラクロスのラケットのようなものを使い、ホッケーのような感じで球を打っていく。初めて目にした。
2)ミホールの処刑
1920年、英国支配下にあるアイルランドの町コーク。名前を聞かれてミホール(アイルランド名。英語名だとマイケル)と答えたことが原因となり、英軍に処刑されてしまう。映画開始5分でもう映像に目が釘付けだ。
3)英軍との闘い
主人公ダミアンはロンドンで医者になる夢を捨て独立運動に身を投じる。ユニフォームもなく私服で軍事訓練をする仲間たち。英軍に捕まり拷問を受ける。ダミアンの実兄テリーは生爪をはがされながら拷問に耐える。刑務所に響き渡るテリーの叫び声を聞きながら仲間たちが大声で歌を歌って励ます。序盤でもう涙目である。
4)英国アイルランド条約
停戦・そして条約締結。戦闘シーンは少ししかないのにいきなり独立というのはちょっと唐突だが、地方都市コークではダブリンで起きていることが瞬時に伝わらないじれったさを感じさせる。
5)アイルランド独立派の内紛
条約で認められたのは、北アイルランドを除く南アイルランドの限定的な独立でしかなかった。英軍との軍事力の差という現実を見据えて妥協をする主流派とアイルランド全部の完全な独立を目指す少数派の中で紛争が起きる。兄弟の弟ダミアンは少数派に、兄は主流派に分かれて戦うことに。
6)ダミアンの処刑
拘束されたダミアンにテリーは頭を下げる。少数派の仲間の居場所を教えてくれ、と。ダミアンは言う。「仲間を裏切れない」。テリーは掟に従って、ダミアンを処刑するしかない。「今からでも遅くないんだぞ」テリーも涙目である。そして、発砲の号令を部下に掛けるテリー。涙ちょちょぎれるシーンだ。
ラストはダミアンの遺書をテリー自らダミアンの妻に手渡しに行くシーン。不要ではないか。処刑シーンで私は感情のピークを迎えていたので、そこで終わりにしてよいように思った。

* 監督の勇気に拍手
英軍のアイルランドに対する強圧的支配を描いた映画をイギリス人監督が撮るのはものすごく勇気のいることだ。イギリス人から見れば反英的映画・ここまでひどくないといわれるだろうし、アイルランド人から見れば実際はもっとひどい仕打ちをされていた、事実の歪曲だ、といわれるだろう。どんなに中立的に描こうとしても必ず不満を持つ人が出る繊細なテーマをあえて取り上げているのだ。不満で済めばいいが、自身の身に危険が及んだり、以後スポンサーがつかなくなる恐れだって十分あったはずだ。日本に置き換えてみれば、日本人監督が、南京事件や安重根(日韓併合時代に伊藤博文を暗殺した朝鮮の「英雄」)を描いた作品を作るようなものだから。

*なぜ北アイルランドは今なお英領にとどまっているのか。
映画を見て多くの日本人はそう思うのではないか。参考になるサイトを見つけたのでクリップしておきます。なお、質問者・回答者ともに私とは無関係です。

(引用)>ユニオニスト達もブリテン島にまた移り住めばいいのにと思ったりしたのですが、なぜ移民という立場で勝手に北アイルランドで独立するために残虐なことをいくらでもできたのでしょうか。

北アイルランドの歴史をご存知なのでしょうか?
現在のプロテスタント系の人達も、既に400年に亘って北アイルランドに住んでいる人達なのです。
北海道が「アイヌの土地だから日本人は出て行け」と言われて、北海道の人が出てゆきますか?
たった百年でその状態です。
それを400年前ですと、イギリスに親戚などもいなくなってしまっています。
質問者の方が、アメリカは、ネイティブアメリカンのものだから、ブッシュもオバマもアメリカ人全員を元の国に帰せるなば、北アイルランドでも可能でしょう。
アメリカは、北アイルランドの歴史の半分たった200年ですから。
(引用終)
nacamhttp://soudan1.biglobe.ne.jp/qa4558774.html?ans_count_asc=1


*ニュースクリップ
イギリス:IRA過激分派が犯行声明 基地兵士2人殺害
 【ロンドン町田幸彦】英国・北アイルランドの英軍基地で7日、兵士2人が銃撃され死亡した事件を巡り、武装組織「アイルランド共和軍(IRA)」の過激分派「リアル(真の)IRA」を名乗る者が8日、犯行声明を出した。アイルランド・ダブリンの地元新聞社に電話してきたという。リアルIRAは97年、IRAから分離し、98年に北アイルランドで爆弾テロ事件を起こすなど、武装闘争を続けている。

 英BBCによると、北アイルランド自治政府でカトリック系住民を代表するマクギネス副首相は「自分は元IRAメンバーだったが、戦争はもう終わった。事件は(プロテスタント系住民との)戦争を再来させようとするものだ」と非難した。ブラウン英首相は「北アイルランドの和平構築を崩すことはできない」と強調した。

 負傷者4人のうち、2人はピザの配達員だった。http://mainichi.jp/select/world/news/20090309k0000e030046000c.html

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